梅原龍三郎作「裸婦扇」は、1938(昭和13)年に描かれた油彩画である。
ベッドに裸の女性が横たわっている様が描かれている。ベッドの奥には屏風が置いてある。全体的に、黄土色や深い緑色が多く使われている。奇妙なことに、女性の身体のうち腕のみが肌色で、胴体や足は白色をしている。また、腕や足先の輪郭は赤茶色で描かれているのに対し、胴体や太ももの輪郭は深い緑色で描かれている。これは、深い緑色の寝具との対照で胴体が白色のような印象を持ったのをそのまま描いたのではないだろうか。また、輪郭が深い緑色になっているのは、寝具の上に横たわっている様から感じた、寝具と一体化しているかのような印象を表しているのではないだろうか。
高階秀爾氏は『岩波 日本美術の流れ6 19・20世紀の美術』(岩波書店 1993年7月刊)において「裸婦扇」について、「あまりにもルノワール風の初期時代よりも、琳派の装飾性をも取り入れて大胆な構成の明るい裸婦像を提示してみせた」と述べている。
彩られた屏風とベッドに横たわる裸婦との組み合わせは、確かに意外性もあってユニークである。

