米国の女性が5ドルで購入した絵がジャクソン・ポロックの作品ではないかとして話題になっていると、英タイムズ紙が報じた(The Times 2006年11月7日)。
問題の絵はカリフォルニア州のテリー・ホートンさん(74)が1991年に購入した。ポロックの名前すら聞いたことがなかったというホートンさんは、古物商で7ドルで売られていた抽象画をダーツの的にするつもりで5ドルに値切って購入。持ち帰って友人と絵を見て笑った後、ダーツの的にはせずにしまっておいた。
その後ホートンさんが絵を知人に見せたところ、ポロックの作品ではないかと言われたという。絵画に詳しくなかったホートンさんだが、これを聞いてポロックについて調べるうちに、絵はポロックが描いたものだと思うようになったとのことだ。
絵がポロックの作品だとすれば大発見だが、はたして本物なのか。メトロポリタン美術館元館長のトマス・ホービングさんはこの絵について、ポロックをまねて描いたものだろうとしている。一方で絵画修復家のピーター・ポール・ビロさんは、絵からロンドンのテート美術館が所蔵するポロックの作品にあるものと同じ指紋が見つかったとして、ポロックの作品である可能性が非常に高いとしている。
ポロックは米国現代美術の巨匠とされ、「No.5, 1948」が絵画の取引価格としては史上最高の約1億4000万ドル(約165億円)で売却されたと今月初めに報じられるなど、作品の評価は極めて高い。絵が本物であれば5000万ドル(約59億円)の値がついてもおかしくないという。わずか5ドルの絵が1000万倍の値段になるのかどうか、評価の行方が注目される。